初夏に薄橙色の花を咲かせるこちらの花を皆さんも見たことあるのではないでしょうか。
こちらが今回のターゲット、ナガミヒナゲシです。
地中海沿岸原産で、日本には輸入穀物に混入、または観賞用として移入されました。このナガミヒナゲシは近年急激に数を増やして問題になっています。理由としては繁殖力の高さとアレロパシー活性が非常に強く、周囲の植物の生育を妨げてしまうからです。
ご覧の通り物凄い数の果実。1株に約100個の果実、1つの果実に約1500粒の種子をつけると言われています。1株で15万粒の種子…!しかも種子が砂のように小さい!その落ちた種子が車のタイヤなどにくっつき容易に生息域を拡大していっているのです。可愛らしい花とは裏腹に恐ろしい繁殖力ですね。
現在は特定外来生物には指定されていませんが、ノミネートされる日は近いのではないでしょうか。
しかし問題外来種とはいえケシであることには変わりありません。ナガミヒナゲシには麻薬成分も含まれていませんので、この大量に作られる種子はケシの実(あんぱんについてるアレ)なのです。以前、野食ハンター茸本朗さんがナガミヒナゲシをあんぱんにマシマシにかけたり、ごま団子風に調理して美味しさを大絶賛されていたのでそれを参考にさせていただき、採集・調理していきたいと思います!
短時間で大量採集
採集時の写真です。茶色く完全に乾燥した種子をとっていきます。乾燥しているものは花茎がポキッと簡単に折れるので楽々採集できます。その際は種子をこぼさないようにしましょう。繁殖に加担しないように!
道路脇に生えていたり、空き地などそこらじゅうに密集しているので、短時間で大量にとることができます。今回私も採集時間は10分もかかりませんでした。ここから種子を取り出して加工していきます!
細かい種子を取り出して煎る
採ってきた実から種子を取り出しました。とても細かいですね。この種子が野外で飛び散るんだから、そりゃあ大繁殖する訳だ…。
実から取り出した種子です。カラなどゴミが混じっているのでふるいにかけましょう(種子が小さいので粉ふるいでふるったらジャストサイズでした!)。
ふるったものをフライパンに移し煎っていきます。
開始早々、いい匂いが立ち込めてきました。煎ったものをひとくち食べてみたら(暑いので注意!)びっくり。プチプチの食感、ゴマっぽい香りとお煎餅のような油の香ばしい香りが鼻を突き抜けてきました。美味しい!
これはパンにたくさん乗せたら最高に美味しいだろうな〜(^^)という訳で早速パン捏ね開始!
あんぱんには大量のトッピングを
ナガミヒナゲシの美味しさを知ってしまったが故、あのプチプチを大量に乗せたいっ!という欲に駆られ、夜中にパン作りを開始しました。これが太る原因…涙
パパッと生地を作り発酵させている間に、中に入れるあんにも加工をしていきます。
なんと…あんの中にもナガミヒナゲシをたっぷりと入れちゃいます!これぞ至高!
発酵を終えた生地に「至高のあん」を包み、卵を塗って好きなだけプチプチをかけたらオーブンで焼いていきます。いってらっしゃい!
香ばしさが一級品!実食!
完成しました。ナガミヒナゲシあんぱんです!
中も外も贅沢にたっぷり使用している(問題外来種だから惜しみなくね)ので、普通のあんぱんとは一味違うプチプチとした食感が楽しめました。
味もケシの実の香ばしさが口いっぱいに広がりとても美味しかったです。この香ばしさは種子に油分がないと出ないでしょうから、この種子には油分が多く含まれているのだと思います。もっとたくさん集めたら、ナガミヒナゲシ油が作れたりして…!?
日本中どこにでも生えているナガミヒナゲシを煎ってナッツとして利用し、たいへん美味しく食べることができて感動しました。それと同時に、種子の小ささや実をつける数が多いことから繁殖力の高さを知ることができました。
今回贅沢にたっぷりと使用しましたが、採れた量は1株分にも満たしていません。食べて生息数を減らすぞ!というには種子の数からしてなかなか難しいところではありますが、駆除対象になっているのだから、どうせなら食べて美味しい!ハッピー!駆除までできて一石二鳥〜!という心持ちでどんどん食べて、少しでも環境保全に貢献できたら嬉しいなと思いました。
夏のうちにもう少し採って煎って保存しておこ〜っと!
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